マンドリン倶楽部「クリスマスコンサート2021」鑑賞記

マンドリン倶楽部「クリスマスコンサート2021」鑑賞記

明大マンドリン俱楽部の名は、全国的に知られている。昭和歌謡の巨星・古賀政男を輩出したこと、創部99年という屈指の伝統を誇るクラブであること等から、「明治らしさ」を象徴する存在と言っても過言ではなく、その知名度は、他大学の同種クラブを圧倒的に上回るばかりか、明治大学の数ある文化系サークルの中でも群を抜いている。
しかし、この2年余りのコロナ禍によって、国内各地のみならず海外でも行っていた演奏会も思うようにできなくなり、私たち父母にとっては、実際に演奏を聞く機会は長らく得がたいままであった。
9月の緊急事態宣言解除後、倶楽部の活動が正常化するにつれ、11月6日、日本青年館ホールでの定期演奏会、そして今回12月18日、有楽町よみうりホールでのクリスマスコンサート開催にこぎつけられたことは、部員たちにとっても、私たち父母にとっても誠に喜ばしいことである。そして、4年生部員にとっては、これが俱楽部として最後の演奏となる。
会場は老若男女、幅広い世代の方々でほぼ満員である。東京都西部地区父母会からも、ご家族を含め20名以上がよみうりホールへ駆けつけた。

かわいいデザインのプログラムを見ながらワクワクして演奏を待ちます

「諸人こぞりて」でコンサートの幕が上がった。部員たちは皆、クリスマスにちなんだコスプレをしている。マンドリン倶楽部と言っても、マンドリン系の楽器だけではなく、金管、ピアノ、キーボード、ドラムス、エレキベースなど多種多様な楽器がフルに入る大人数編成の演奏形態である。イタリア生まれの楽器らしい、マンドリンのどこかレトロで懐かしくかわいらしい音色で、メロディが時に軽やかに、時に大迫力で、リズミカルに奏でられていく。そう、なんとも言えず心地よく魅力的な響きなのだ。クリスマスソングのオンパレードのせいか、定期演奏会の時より、部員たちの表情もどことなく楽しそうで、リラックスしているように感じられる。
竹内まりや「素敵なホリデイ」、坂本龍一「戦場のメリークリスマス」など、クリスマスづくしの7曲で、第1部があっという間に終了。

休憩の後、第2部が「YOASOBIメドレー」でスタート。こうした最新ヒット曲から、「Hooked on Classics」のようなクラシックメドレー曲まで、「何でも弾いてやろう」の精神で見事に弾いてしまうところが、明大マンドリン倶楽部の特色だ。ゲーム・アニメなどのメディアミックスでブームとなった「ウマ娘 プリティーダービー」の楽曲「うまぴょい伝説」をフィーチャーし、クリスマスコンサート伝統の部員の仮装とダンスで大いに盛り上がった「2021年仮装パレード」などもその精神の表れであろう。
そして、明大マンドリン倶楽部と言えば、倶楽部の大先輩・古賀政男が紡いだ古賀メロディは外せない。「楽し都 恋の都 夢のパラダイスよ 花の東京」のフレーズで知られる「東京ラプソディ」、もともとはマンドリンの練習曲として作曲されたという「丘を越えて」のメロディが流れると、観客から盛大な手拍子が起こり、世代を超えて会場が一体となった。
山田理樹第99代主将の涙の挨拶を経て、コンサートはフィナーレへ。マンドリンとマンドラの津軽三味線を彷彿とさせるソロが印象的な、音楽監督/常任指揮者・甲斐靖文先生作曲「津軽組曲より 夏」で幕が下りた瞬間、アンコールを求める手拍子が沸き起こり、鳴りやまない。

この日演奏された楽曲(+アンコール2曲あり)

アンコールは、ラテンのリズム&ビートと豪華なホーンセクションの組み合わせで、1980年代、グロリア・エステファン率いるマイアミ・サウンド・マシーンをスターダムに押し上げた「コンガ」でスタート。明大マンドリン倶楽部は、原曲をサンバやサルサなどラテンアレンジした楽曲をしばしば取り上げるなど、ラテンナンバーを得意としている。聞き慣れた楽曲も、マンドリンで聴くと、まったく違った魅力を発見できるのが不思議だ。そしてラストナンバーは、4年生の旅立ちを飾るにふさわしいSuperfly「愛をこめて花束を」。部員たちの万感の思いをこめたアンコールを含め全21曲、1時間30分余りのステージであった。

昨年末までは落ち着いていたコロナ禍だが、年が明けて、オミクロン株の感染拡大が急速に進んでいる。かれこれ2年もコロナとのたたかいが続く中、「演奏をまだ聴いたことがない」というご父母・学生も多いのではないだろうか。彼らのステージは、年齢や音楽の嗜好に関係なく、誰でも理屈抜きに楽しめる一級品である。明治大学と縁を得た方は、機会をとらえて、ぜひ一度コンサートに足を運んでほしい。

倶楽部は、今年記念すべき創部100年を迎える。コロナ禍を乗り越えて次の100年へと新たな伝統と歴史を刻んでいく部員たちに期待したい。コロナに苦しむ日常が一日も早く正常化し、今年こそ彼らのマンドリンの音色が、全国各地に響くことを祈ってやまない。

(終)

司会を務めたのは、東京都西部地区運営役員のご息女です!

心温まるすばらしいコンサートでした!(東京都西部地区父母会運営役員)